訓練の落第者、人を救う

 

昨日は機内で緊急事態が発生したら・・・↓

http://www.with-baby0-3.com/flight/emergency-pax.html

という内容でしたが

今日はそれに付け加えたいお話。

 

エンジン

 

緊急時(emergency)の訓練は

訓練の中でも最も重きを置かれていて

その試験にパスしなければ

強制帰国(つまり用なし)という厳しいものでした。

客室乗務員は保安要員であるため

当り前といえば当たり前なのですが。。。

外資系のため訓練はもちろん全て英語です。

初めて見る英単語の数々に、げんなり。

(特に医療用語などは完全にお手上げ)

私と共に電子辞書も、調べる英単語の多さに

悲鳴をあげていました。

 

辞書

 

 

落ちたらどうしようという不安から

頭が真っ白になり

冷静になれば分かるはずの問題が

わからなくなるというドツボにはまり

テストに落ちてしまいました。

あぁ、無常。

私は学生じゃないのに落第者。。。

やっぱりそこでも泣きました。

ホームシックで泣き

太って泣き

テストに落ちて泣き

シングリッシュ(シンガポール訛りの英語)

が分からなくて泣き

その後フライト中でも泣くこと多数・・・

どれほど泣いたかわかりません(笑)

 

涙

 

 

泣きながら私は客室乗務員になりたかった

自分の原点を思い出していました。

昔から弟の面倒をよく見ていたこともあり

人のお世話が好きだった私。

大学生の頃はラグビーサークルの

マネージャーをしており、

試合になると怪我をする選手が

たくさんいました。

骨折をして目の前で苦しむ選手たちを見ていると

何もしてあげられない自分が悔しくて

何かできることはないかを探し

日本赤十字社の救急法という

応急処置の方法等を学ぶ講習会に

参加し、資格を取ることにしました。

そこに講師の先生として来ていたのが

CAの方(忘れもしない木村さんという方)でした。

隙のない立ち居振る舞いに

素早い的確な処置

ボランティアで講師をされているという

そのホスピタリティにすっかり心奪われ

私もこうなりたい!

こうなるんだ!!!

と強く思ったのが私のCAの原点でした。

 

原点

 

 

そのことを改めて思い出し

もう一度がんばろうと決意を新たにしたのでした。

そして会社からは最後のチャンスとして

追試をしてもらえることになり

なんとか首の皮1枚がつながり

やっとパスできたのでした。

 

 

 

 

それから10余年の月日が経ったある日。

ホテルでお仕事をしていたら

お客様が突然にバッターンと倒れたのです。

近くにいた私はすぐに駆け寄り

(訓練のおかげで体が勝手に動いていました)

脈と呼吸を確認したのですが、ない様子。

明らかに貧血とは違い、脳梗塞の疑いというのは

見れば明らかでした。

すぐにAED(自動体外式除細動器)

と救急車の手配をし

支配人と一緒にCPR(心肺蘇生法)を開始しました。

15回私が心臓マッサージをした後に

2回支配人が人工呼吸をするというのを

繰り返していると、AEDが到着しすぐに作動。

その後救急隊の方に引き継ぐ頃には

心臓が再び動き出してくれたのです!

5分間心肺が止まってしまうと

脳に酸素を送ることができず

回復することが難しくなるので

初動がいかに大切かということを

訓練で口を酸っぱくして言われており

繰り返し練習してきたことであったため

気付いたら体が勝手に動いていた

というのが実際のところでした。

昔取った杵柄で

当り前のことを当り前にしただけなのですが

民間人がAEDとCPRを使用して

人を助けたという事例がまだまだ少ないらしく

その後消防庁から感謝状をいただきました。

これは私にではなく、私に学ぶ環境を与えてくださった

みなさんと、教えてくださったみなさんのもの

としてありがたく頂戴しました。

訓練では落ちこぼれではありましたが

実際に人の命を救えたということは

私の目標であったCAの木村さんに

1歩近づけたのかなとうれしく思いました。

 

花

 

そして私は思いました。

何の役に立つんだろうと思う知識や経験にも

知っていてよかった、やっていてよかった

と思える時が来るのです。

全てに無駄なことなどないんだということを

改めて学んだのでした。

 

 

 

PS:最近のCPR(心肺蘇生法)では

心臓マッサージだけをやればよく

人工呼吸は行わなくてよいということになった

(人工呼吸は大変難しく、よほど練習しないと

空気が肺に入っていかないため)

と消防の方から聞きました。

また、AEDを使うことをためらう方が

いらっしゃると思うのですが

AEDはとても賢い精密機器で

装着した人に除細動が必要か不必要かは

AEDが判断してくれるので(心臓の動きを

モニタリングして自動波形で記録してくれます。

そのため病院に行った後、診断をする際に

有効な判断材料となります。)

迷ったときは使うことをおすすめします。

 

2013.8.22

いとうあき


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