機内で緊急事態が発生したら・・・

 

「急病人の方がいらっしゃいます。

お客様の中でどなたか

お医者様や医療従事者の方は

いらっしゃいませんか。」

飛行機内でこんな緊迫したアナウンスを

耳にされたことはありますか?

 

 

 

私が乗務していて多い時には

10フライトに1回位の割合で

このアナウンスをしていた

記憶があります。

そう、残念なことに急病人発生は

稀なケースではないのです。

 

くも

 

それは特に朝の便か、夜発のホノルル便

(特に多い。もう、限定しちゃいます)

お食事サービスが終わった後に

浮かれ気分の機内で

たいてい起こります。

トイレ掃除に行こうと思い

通路を歩いていて

倒れてくるお客様を受け止めたことも

ありますし、機内巡回中に見つけることも

あります。

意識を失って倒れてしまうため

打ちどころが悪いと

それこそ一大事。

クルーたちの間にも緊張が走ります。

 

積乱雲

 

すぐに意識を戻される方がほとんどで

みなさん貧血を起こされているのですが

応急処置中に色々聞いてみると

驚くことにみなさん同じことをおっしゃいます。

・昨日は(今日から旅行のため)仕事が忙しく

仕事をしていて寝られなかった。

・機内で寝ようと思っていた

・お酒は2~3杯しか飲んでいない

・しかもそれは胃に何も入っていない状態(すきっ腹)だった

つまり、寝不足なところにお酒。

たくさん飲まなければ大丈夫

と思っているところに落とし穴があります。

しかも機内の気圧は低く

富士山の5合目の高さに相当する

2,400m前後のところで

飲んでいることになるのです。

そのため体は酸素不足を補うために

呼吸や脈拍が多少早くなります。

それに加え飛行中にお酒を飲むと、

血管拡張と心拍数の増加とが相まって

アルコールの脳への回りも早くなり

地上にいるときより酔いやすくなるというわけです。

疲れた体にはWパンチなのです。

更に久しぶりの栄養がアルコールだった・・・

それでは体もびっくりしてしまいますよね。

 

 

富士山

 

 

訓練では機内で出産することも想定し

へその緒の切り方まで習います。

(本当にやったという話はまだ聞いたことがありません)

また様々な症状に合わせた処置方法を学び

具合の悪いお客様を多く見てきているので

倒れられた方の顔を見れば

危険か危険じゃないかの判断は

だいたいできるようになります。

私はいつも運よくお医者様や看護師さん

救急隊の方などを見つけることができ

(本当に乗っていらっしゃるんです!

そして名乗り出てくださるんです!!!

感動して鳥肌が立ちますよ。)

見立てどおり、貧血という結果で

事なきを得てきたのですが

心臓発作や脳梗塞など

急を要する状態の方がいた場合、

近くに降りられる空港があれば

緊急着陸をするということになります。

ただ、貧血の場合倒れた時に

頭を打っていることも考えられるので

その後病院での頭部検査をされることを

おすすめしてきました。

倒れた後は経過観察が必要です。

たかが貧血と侮ることなく

病院に行きましょう。

 

花

 

このようなことにならないためにも

旅行前の無理は禁物。

せっかくの楽しい旅行を

台無しにしないためにも

睡眠はきちんととるように

心がけてくださいね。

 

2013.8.21

いとうあき


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